中学卒業後から20種類以上のアルバイトを経験。ITコンサルティングファームを経て起業へ。

 

ShareTable株式会社 代表取締役

藤 愛美さん

中学卒業後から20種類以上のアルバイトを経験。漠然と将来的に独立することもできるようにとITコンサルティングファームへ入社。

 

――これまでのご経歴と現在のお仕事について教えていただけますか?

 

経済的な事情から中学卒業すると共にアルバイトを初めたので、20代前半くらいまでに会社事務から飲食店まで20種類以上の仕事経験をしてきました。 大学卒業後はIT系のコンサルティングファームに就職し、コンサルティング業務を経験した後、転職して大手流通小売業の店舗運営や金融業のWEBコンサルなどの業務にも携わりました。

 

仕事とは大小含めて「次世代に何を残していくか」ということだと思っています。子供が生まれてからより一層、その思いが強くなりましたが、産前の2015年くらいからボランティアベースで食卓シェアイベントをするようになり、2018年にShare Table株式会社を設立しました。設立後に事業の方向転換を何度も繰り返して来ましたが、現在は、アプリや学習コンテンツの企画開発や、産前産後のオンラインコミュニティー運営、子育て世帯向けのセミナーイベントの企画、マーケティング支援やアドバイザリー業務を行いながら、あらためて新規事業を立ち上げ中です。

 

 

――20種類以上のアルバイトのご経験は、就職時の職業選択などに影響ありましたか?

 

コンサルティングファームを選んだ時点で、今思うと将来的に何か自分で事業をしたいという思いがあったのではないかと思います。

 

私は高校卒業してから大学に入るまで何年かブランクがあるのですが、10代の時点で一般的なルートから既に外れていたので、自分でどうやって生きていくのかということを、”ちゃんと考える”というよりは、その場その場の生活と「どう自分が生きていったらいいのか」ということに必死だったように思います。 家庭環境や経済的な事情で、10代のうちに既にいろいろな機会を閉ざされているということを経験し、自分だけでなく周りの仲間や同じような環境で働いている人たちの様々な背景を知っていく中で、子供のころからあった世の中で見えない格差や壁があることに対する怒りのようなものがあり、そういった状況をどうにかしたい、どうにか変えていきたいと思っていましたが、その思いをうまく消化できないまま大学も生活費と学費を稼ぎながら卒業して、まずその時に自分が身に付けたいと思ったことが、ITでした。お金がないのでWifiもない、パソコンもないという状態だったので苦手意識があり、そもそもITが何なのかもわからなかったので知っておきたいという観点と、自分自身が孤立化した環境にいた時に行政とのつながりがなく「何をやっているのだろう?」という想いがあって、官公庁向けのIT系のコンサルティングファームを選びました。 当時は実際に何をやるのかはわからなかったのですが、こういう方向に行きたいというイメージだけはあったと思います。

 

 

孤立化している環境にいる人たちと社会を繋ぐものをつくりたいと食卓シェアサービスからスタート

 

――食卓シェアサービスをはじめるようになった背景にはご自身の経験などもあったのでしょうか。

 

 

もともと孤立化している人たちがどうやって人や社会と接続していくかというところに興味関心が子供時代からあって、そこをどういう風に変えていったら、どういったサービスがあったら、そういった環境にいる人やそういう状況に陥ってしまった時に新しい選択肢を手に入れられるのかな、と。自分が子供時代に選択肢が見えなかったので、そこを繋ぐものをつくりたいという想いがずっとあったのですよね。やはり孤立化した人たちのために人と社会を繋いでいくということをしたいと考えているうちに、とはいえどうしたら良いのか分からないまま想いだけがあって、そもそも地域社会とかで核家族で閉ざされた家庭環境以外の繋がりが学校以外になかなか繋がっていく場がないと思ったときに、人とのつながりや信頼関係を繋げていくときに一番適しているツールみたいなものは食卓をシェアすることだと思ったんですよ、その時は。ご飯を一緒に食べることによって、地域の人とちょっと深く仲良くなったり、繋がったり、信頼関係が生まれるのではないかと思って、そこを切り口にとりあえずスタートしてみようと思ったところが最初です。 食の課題は他の面においても大きいと思います。夜に仕事から帰ってきて、ご飯を作るということが大変なことも大きな課題ですし、子供にとっては、違う大人との信頼関係を結ぶ場だったり、第二の家族で、世界を拡げたり、選択肢は違うものがあるのだよということが見える場を提供すること、お母さんお父さんの預け先がないという課題を解決したいと食卓シェアから始めたお子様お預かり事業が法人後最初のサービスでした(現在はクローズ)。

 


 

その都度、なるべく自分に嘘をつかず、正直に生きてきた。そして、自分がこうしたいという方向に一番柔軟に動ける方法が、自分で会社をやること。

 

 

――お仕事も事業もいろいろ試行錯誤されていらしたのですね。なかなかやりたいものがあっても、新しいことにチャレンジすることに躊躇したり、行動できなかったりする方も多いように思います。

 

私自身も全然行動は足りていないというか、思うようにいかないとずっと思っています。私の場合はこれまで、自信を持って出せる経歴やバックグラウンドがないので、自分でやっていくしか他に道がないと思っていることもあるかもしれません。行動力があるというより、他に道がないという感覚です。

 

――お仕事やキャリアで心がけてこられたことは何でしょうか?

 

引きこもりの時期もありましたし、明確なキャリアを選択してきたと言い難いところがあって、仕事というよりも、大げさですけれど生き方みたいな、仕事でどうやって自分が生きていきたいのかということとしては、その都度自分に正直にやってきたのかなと思ってはいます。ですので、なるべく自分に嘘をつかずに生きていける方法で、やってきたというところかなと思います。あとは単純に性格的に組織人になかなか向かないタイプだなという自覚はあったので、覚悟して自分でなんとかしていく方向に向かっていったというところですね。

 

――「自分に正直に」ということですね。なかなか、自分がどうしたいか、わからない方も多いと感じるのですが、藤さんはどうやって自分の想いを確認したりしてきたのですか?

 

やりたいことってやってみないとわからなかったりするので、どちらかというと、「これは許せない」とか「やりたくない」、「できない」という方を切っていったという方が正しいかもしれないですね。あとは単純に想いだけはあるので、これまで培った怒りとか価値観に忠実に選択肢を絞っていく方向でやってきました。

 

 

 

サポーターとして、普段交わらないような方と話ができ、その都度学びが多い。よりよい人生を創りたい人に使ってほしい。

 

 

――サポーターセッションではどんなお話をされましたか?

 

将来的に起業を視野に入れて検討されている方や、既に実際に事業を運営されている方とのセッションでしたので、シンプルに事業に関わる情報交換と、法人立ち上げの際に具体的にどうしたのかということや、法人設立するときにどんなところに注意して、どんな心構えでやってきたのか、というところについて会話しました。

 

――サポーターでいることはどんな意味や価値がありますか?

 

実際にセッションさせていただくと、普段交わらないような方とお話できますし、その都度、学びが多いと感じています。日々バタバタと過ぎて行ってしまうので、意図しないとなかなかこういう機会はつくれないと思います。そういった意味で貴重な機会をいただいていると感謝しています。 me:Riseさんとは、対象や提供する形は違うのですけれど、意図せず現在検証中のサービスが近いものになりそうなので、me:Riseさんのサービスやサポーターの重要性を身に沁みて感じています。そういう意味でも私自身がとても勉強になっています。

 

――どんな人に使ってほしいと思いますか?

 

単純によりよい人生を創っていきたい人に使ってほしいなと思います。