コーチ紹介インタビュー
イギリスの大学院留学から帰国後、英会話講師経験を経て転職エージェントに17年間勤務。管理職となり、ベストチームアワードを受賞するなど活躍。
―― これまでのキャリアについて教えてください
イギリスの大学院から帰国してまずは自分が得意な英語を軸にして仕事を探し、英会話学校の 講師としてキャリアをスタートしました。
午前中は教材づくり、午後は授業で夜9時頃まで毎日スケジュールが詰まっていて想像以上にハードでした。まずは自分ができることからと始めた仕事でしたが、よりやりたい事ができる仕事を求めて転職活動をし始めました。
大学院で勉強した専門を活かせるアジア経済研究所のようなところでリサーチアソシエイトから仕事を始められたらいいなと思って探し始めたのですが、求人も少なく、途方に暮れていた時に、登録していた人材紹介会社のひとつ(株)JACリクルートメントからお誘いを受けて入社しました。そこで17年間勤務しました。
最初は、横浜支店で神奈川県内の法人営業を担当しました。業界問わず企業から求人をいただき、求人にマッチする人を担当キャリアコンサルタントにリストアップしてもらって、候補者が求人スペックに合っているかを確認してから企業に紹介して成約に繋げるという仕事です。
小規模な支店だったこともあり、一人でいろいろな業界を担当できたので、半導体がどんな工程で作られているのかだとか、自動車を構成をしている様々な部品についてなど、企業の方からいろいろな話を聞くことができて、それがとても面白く好きでした。
楽しんで仕事していたことが数字にもつながって、会社から賞をいただいたりもしました。個人として賞を取った次の年は、管理職としてチームを持つようになり、チームでも賞をとるぞ!と決意してチームで夜遅い時間まで一緒に頑張って、ベストチームアワードを受賞出来た時はとても嬉しかったです。
その後、外資系企業向けの特化型エージェントの立ち上げプロジェクトにアサインされ、コンサルタントの採用や法人設立ための準備業務に携わり、立ち上がってしばらくしてから産休で1年ほどお休みしました。
復帰してからは、管理部門職種を扱う部門に異動になり、転職希望者の面談と法人営業を一人で担う仕事を6年ほど経験しました。
キャリアコンサルタントだった自分自身が転職に苦悩。その体験が、「自分が大事にしたいもの」に気づくきっかけに。
ある時、とある会社の採用のポジションのお誘いがあったんですね。その会社の掲げている理念やカルチャーに共感し、コーポレート部門の採用ポジションの募集でもあったので、「まさにこれだ!」と直感的に思って転職しました。
特に転職したいと思っていたわけではないですが、自分が大切にしたいもの、こうだったらいいなと思うものを体現している会社が現れたと半ば運命だと舞い上がっていたように思います。
ところが3か月目くらいになると徐々にきつくなってきて、毎朝、自分に相当気合を入れないと会社に行けないくらいになってしまいました。全然ハッピーな将来もイメージできなくて、もともとキャリアコンサルタントだったのに40代半ばで転職して早々に辞めたりしたら恥ずかしいという想いで頑張っていた日々でしたが、3か月間の試用期間が終わった後に辞めることを決意しました。
事前に調べたとおりの素晴らしい会社でしたが、ワーキングスタイルという観点で自分と相容れない部分があったということに転職して初めて気が付きました。本当は転職前に気づくことが出来たらよかったのですが、転職したからこそ目が覚め、自分の大事にしたいことに気づくことができました。転職していなければ、今でもぬくぬくと同じ会社に19年勤めていたかもしれません。40代の自分にとっては大変な経験でしたが、今では意味のある経験だったと思っています。
好きで得意な面談を通じて人の気持ちに寄り添いたいとセカンドキャリアをコーチングにすることを決意
―― コーチングはどういった経緯で学ぼうと思われたのですか?
コーチングに初めて触れたのは、10数年前に新任管理職向けの1日のコーチング研修を受けた時でした。その時はコーチングというものは知ったけれど、研修が終わったら翌日からは通常どおりで、特に取り入れたりすることもなかったんですよね(笑)。
転職先を辞め、せっかくなので思い切ってじっくり何をセカンドキャリアにしようか考えようと思い、やりたいことや得意なことを棚卸していたんですね。
その時に、転職エージェント時代の業務を細分化し、何十種類もの業務を「好き」「普通」「嫌い」つまりは「自分がぜひやりたいこと」「人にお願いしてもよいこと」「ぜひ他の人にやってほしいこと」に分けて考えてみたところ、「好き=自分がぜひやりたい」ことに“面談”が入っていたんです。
法人営業の経験も長かったので、どちらかというと企業ニーズに寄り添うタイプ、営業マンタイプだと思っていたのですが、改めて思い返してみると、転職希望者の方々との面談が好きで楽しかったと気づいたんです。そうしたら、好きで得意な「個人に寄り添う仕事」がしたいと思うようになったんです。その時に頭の片隅にあったコーチングを思い出して、やってみたいと思うようになりました。
誰かのやりたいことやどうしたいか?という気持ちに寄り添っていくということがしたいと思ったのもありますし、自分自身が価値観に合わないところで働く辛い経験をしたので、その人の大事にしていることを明らかにしたり、どうしたいかを考えたりすることは重要だと思ったんですよね。コーチングスクールに申し込んだときには「セカンドキャリアはコーチングで行く」と決めていました。
実は元在籍していた転職エージェントの人にも「いつでも戻ってきていいよ」と言われていましたが、今後は好きなこと以外、全てカットしたいと思ったんですよね。一日中面談だけできるのであれば、戻りたかったのですが、さすがに無理でした(笑)。
―― そこから、どのようにプロとしての活動につながったのでしょうか?
スクールに通っている間に100人に対してコーチングするという課題に取り組み実践を積み重ねながら、同時に個人でWEBサイトを立ち上げたり、スクールの先輩経由で紹介いただいた法人の方々の1on1コーチングを担当させてもらったりすることから始め、プロとしての活動するに至りました。
人生一度切り。だから、自分が本当はやりたかったこと、自分らしくて楽しいこと、そんなことで人生後半戦を楽しく送ってほしい
―― どんな方をコーチングされることが多いですか?
主にビジネスパーソンの方ですね。
個人的には40代以上のセカンドキャリアについて考えなおしたい方のサポートをしていきたいです。
以前いた転職エージェントでの経験から言うと、キャリアチェンジNGの年齢層ですが、あと残された20~30年のキャリアを沸々としながら送っていくのは辛すぎますよね。
人生一度切りですから、自分が本当はやりたかったこと、自分らしくて楽しいこと、そんなことで人生後半戦を楽しく送ってほしいと思うので、そういう方々を応援したいと思っています。
―― これまで最も印象に残っているセッションやクライアントさんはいらっしゃいますか?
いろいろなテーマでコーチングを行ってきていますが、冷静に自分自身を客観視していただくことで、今後の指針ががらりと変わったAさんのセッションが印象に残っています。
Aさんは3社にて営業職を経験されていましたが、その3社目に在職中に、今後の進路について迷われていました。セッションスタート時には、転職活動も細々ではありながらも始めていらっしゃいましたが、「私は一体どういう仕事がしたいんだろう?」「今までは営業しか経験していないが、そもそも営業なのだろうか?」とおっしゃっていました。
今までの会社と現職での業務を振り返りながら、ご自身が一番うれしいと感じた時などを思い浮かべて頂くと、達成が数字でわかりやすく、それが評価にも直結し、さらに感謝をされる、「会社や上司からも認められるのが本当にうれしい」とお話され、自分には営業職が合っていると改めて認識されていました。更に、現職の気に入っている点をいくつも挙げていらっしゃいました。
その上で、「じゃあ、そもそも転職活動を始めた理由は何だろう?」と問うと、現職での不満が出てきました。現職では、担当している業界があまり活況ではなく、売上の上げにくいお客様を相手に成績を出さなくてはいけないこと、そして自分の直属のマネージャーに対してあまり頼りにならないと感じている、とのことでした。
不満の内容を言語化してみて、初めて自分自身の不安や違和感は、そもそも営業という仕事内容に対するものではないということに気付かれました。
「改めて今後どうしていきたい?」とお聞きすると、「転職しようという気持ちが先行していたけれど、現在の仕事や会社自体は好きだということに気付けたので、現職で続ける選択肢を探してみたい」とお話されました。
―― 現在はコーチングも含めてどんなお仕事をされているのか教えていただけますか?
コーチングがメインですが、興味のある仕事であればお受けしています。
先日埼玉県内のある自治体の市民ボランティアの方々向けに「人のため、自分のためのコーチングアプローチ」という講演もしました。個人セッションとは違った形でも、多くの参加者の方々が一歩未来に向けて歩き出せる状態を創れるということが実感でき、自分にとってよい経験になりました。
―― セッションでよく投げかける「問い」など、あれば教えてください。
基本的な質問ですが「本当はどうなっていたい?」は必ず聞きます。
あとは、「本当ですか?」と疑って問うというよりは、「今おっしゃったことはしっくりきていますか?」と聞くこともあって、要は自分の気持ちをちゃんと表せているが、あえて確認するようにしています。
というのも、クライアントさんは、ツラツラと表面的な言葉でおっしゃる時もあり、それが本心かどうか本人が分かっていないことも多々あります。「それって本当の気持ち?」と確認することで、クライアントさんが初めて自分の本当の気持ちに向き合うことになるからです。
あと、「未来の自分が現在の自分にアドバイスするとしたら何て言う?」も好きです。他の誰よりも、未来の自分のアドバイスには説得力があり、皆さんとても勇気づけられ、一歩前に進めるようになるからです。
―― コーチングをするとき心掛けていることはありますか?
クライアントさんが勇気を持てている状態にすることを目標にセッションしています。さまざまな理論や手法やスキルなどアプローチはあると思いますし、人によってそれぞれ勇気づけられるものは違うと思うのですが、とにかくセッションが終わったときに、新しい何か「これをやろう!」と思えている、前向きになれる勇気が持てている状態になることだけを意識しています。
知らない分野や業界の人の話を聞ける機会があること、そして、多くの悩めるビジネスパーソンに自分自身と向き合う場を手の届く範囲の価格で提供していることがme:Riseの良さ
―― me:Riseでコーチをしようと思った理由は何ですか?
me:Riseはキャリア・仕事・働くということを切り口としてクライアントさんが生き方を考えたり、いい人生を送る支援をしたりしているところと、「コーチングセッションって、一体どんな感じなんだろう?」と不安に思う方向けに、例えば、セッションの進み方の例やユーザー特性など情報開示していて、コーチングをぜひ知ってもらいたいという姿勢や想いに私自身も共感したからです。
―― 小平さんからご覧になったme:Riseの良さとは何ですか?
サポーター制度ですね。キャリアを考える上で知らない分野や業界の話を聞ける機会があるというところが大きいと思います。なかなか話を聞きたいと思っても実際は出会うのは難しいと思うので。
何より多くの悩めるビジネスパーソンに、コーチングで自分自身と向き合う場を、手の届く範囲の価格で提供しているところも良さだと思います。
【Profile】
小平 ゆう子
転職エージェント・JACリクルートメントにて、法人営業とキャリアコンサルタント職に約17年間従事。外資系、日系大手、ベンチャー企業など様々な業態の企業より求人のオーダーを受け、営業系から技術系、そして管理部門系など1000名を超える幅広い職種の方とのキャリア面談に従事。また、在職中に、組織マネージメント、産休育休取得などの経験も有し、キャリアだけでなく、ライフという視点でのコーチングにも強みがある。自身の経験や転職支援での経験も活かしつつ、それぞれのクライアントにあったキャリアの方向性や働き方を一緒に探索していくことを大切にしている。
アナザーヒストリー認定プロコーチ