Coach Interview

コーチ紹介インタビュー

自身の研修で伝授したスキルが受講者の武器になることが嬉しい。19年間にわたる人材育成業界でのキャリア

 

 

――これまでのキャリアについて教えてください。

 

大学では心理学を専攻していまして、「人」にとても興味がありました。そこで、人材サービス業界に就職し、法人営業として、新規開拓、既存営業を担当しました。その後、教育サービス業界に転職し、営業として学校訪問や体験会の対応を行ったり、短大卒者向けのスキル習得コースの企画運営を経験しました。

 

働きながら、自分のITスキルも高めるために職場で実施していた社会人向けのOffice研修に入らせてもらったとき、インストラクターという仕事に非常に興味を持ち、自ら申し出て教育担当にキャリアチェンジさせてもらいました。

 

自分が研修を行なって身につけていただいたスキルが、受講者の武器になっていく。そんな感覚を持てるのがとても嬉しくて、育成は私の天職だ!と思いました。

 

その後、情報サービス会社に転職し、ITスキルに留まらずビジネススキル全般に研修の幅を広げ、約19年間人材育成を中心に関わっていました。

 

2024年3月に会社を退職し、現在はフリーランスのパーソナルコーチとして活動を開始しています。

 

 

 

決まったことだけを教えるティーチングの限界を実感。その場その場で自身がありたい姿に対して納得感を持って模索できるコーチングに興味を持つように

 

 

――「育成」に尽力されていたということですが、1対1で行う「コーチング」に出会ったきっかけやコーチになろうと思った理由は何だったのでしょうか

 

研修の仕事をしている中で、決まったことを教えるティーチングだけでは限界を感じていました。受講者が基礎的な知識やスキルを持った上で、その場その場で自分で判断して行動できるようになるためには、コーチングが有効だと考えたのがきっかけです。

 

また、当時、会社内で人間関係やキャリアに悩む後輩が多く、相談を受けることがよくありました。コーチングを学ぶことで、後輩たちが納得のいくワークライフを送れるよう支援できるのではないかと考えたことも、コーチングに興味を持った理由の一つです。

 

さらに、前職で行っていた研修業務においても、育児などの理由で登壇する機会が減り、コンテンツ制作など、裏方に回ることが増えてきました。成長する人たちと直接関わりたいという強い気持ちがある一方で、会社で行っている業務との間にギャップを感じるようになったんです。その結果、自分が本当にやりたいことで社会に貢献できる働き方を模索するようになりました。たくさんの選択肢を検討した中で、2021年に副業としてコーチとしての活動を開始しました。コーチングは、自分自身のありたい姿に向かう「仲間」を増やしたい、という思いで行っています。

 

 

――実際にコーチングを学んでみて、ご自身の変化はありましたか

 

コーチングを学ぶことで一番変化したのは、実は、他人への対応ではなく、自分自身との対話でした。自分もコーチをつけたことで、「私が望む未来の姿はどんな姿なのか?」「今、私は何を感じているのか?」「本当は、私はどうしたいのか?」など、今まで向き合っていなかった自分自身との対話が多くなりました。そうすることで、自分が少しずつありたい姿に近づいていっていることを実感できました。

 

 

―― コーチングスクールで学んだ後、どのようにしてコーチとしての仕事するようになったのでしょうか

 

最初は、紹介していただいた方々とのセッションから始めました。現在はパーソナルコーチングをメインに活動していますが、その他にも研修のサポートとしてアシスタントを務めたり、時には登壇させていただいたりすることもあります。また、Zoomなどのオンラインプラットフォームにも慣れており、ホスト役としての仕事もさせていただいています。

 

研修の内容としては、コーチングスクールの理事の方々の会社が主催する研修や、ストレングスファインダー、1on1など、コーチングに関連するコミュニケーション系の研修が多いです。コーチとしての経験を活かし、これらの研修にも幅広く携わっています。

 

 

―― 現在、フリーランスとして活動していらっしゃいますが、どのようなクライアント様が多いのでしょうか

 

 

クライアントの方は、30代から40代で組織の中で仕事をしていらっしゃる方が多いです。子育てをしながら働いている女性のクライアントが多いのも特徴だと思います。そして、これは女性に限らないのですが、最初は目の前の仕事についてのお悩みをお話しされていても、継続していくうちに、仕事を含むキャリア全体のお話になることが多いです。

 

 

 

「5年後、10年後、どんな生活をしていたいですか?」クライアント自身が「主役」となり、ゴール設定をサポートする同志としてのコーチング



 ―― その中で、印象に残っているコーチングセッションやコーチを受けた方の変化について教えてください

 

 

3年ほど継続してコーチングをしているクライアントさんがいらっしゃいます。最初は、上司への不満や職場の雰囲気への不満といったマイナスな感情を全力で受け止めることから始まりました。その際、肯定も否定もせず、ただ話を聴き、判断をしないことに注力しました。やがて、クライアントの口から不満の背後にある「残念」「悲しい」「悔しい」といった感情が現れ、そこから理想の働き方や職場についてのポジティブな話が展開されるようになりました。

 

 

このプロセスを通じて、コーチがゴールを決めるのではなく、クライアント自身が答えを見つけていくということを実感しました。この3年間で様々なことがありましたが、クライアントさんはそのたびに成長し、当初はなりたくないと言っていた管理者として今ではイキイキと働いています。最近のセッションで、クライアントさん自身が「周りへの文句ばかりだったが、今は自分がどうしたいかにフォーカスするようになった」と振り返った言葉がとても印象的でした。

 

 

―― セッションでよく投げかける「問い」など、あれば教えてください。

 

「5年後、10年後、どんな生活をしていたいですか?」はよくお聞きします。少し先の理想をお聞きすると、今課題と感じていることに取り組むための活力源になったり、逆にそれほど重要ではないと気がついたりすることが多いと感じるからです。

 

また、「○○は、あなたにとってどんな意味があることですか?」ということもよくお聞きします。○○には、「仕事」「成長」「評価」「子供」など、クライアントがよく使っている言葉が入ります。クライアントさんのよく使う言葉にどんな思いが込められているのか背景をお聞きすることで、その方の大切にしている価値観が見えてくることが多いです。

 

 

―― 西山さんのコーチングでいつも心がけていることはありますか?

 

その時に取り上げているテーマのみでなく、そのテーマがクライアントさんの人生の中でどんな意味を持っているのかは意識するようにしています。仕事についてお話しされるクライアントが多いですが、仕事は、人生の中では一つのパートです。5年後、10年後、どんな生活をしていたいのか。その中で、どのような働き方をしていたいのか。そして、どんな仕事をどのようにしていたいのか。まずは人生という大きな枠での理想をお聞きし、全体像を俯瞰した上で、取り上げたテーマについて見ていくように心がけています。

 

 

 

 クライアントさんと一緒に、白か黒かではなく、バリエーションに富んだ『グレー』の中にある可能性を探求する。それが、自分のキャリアに納得感を持って進んでいく人を増やすことにつながると信じて

 

 

―― パーソナルコーチとしてご活躍される中で、me:Riseを選んだ理由はどのようなものでしょうか。

 

me:Riseでは、キャリアを扱うコーチングを行うこと、会社で働いているクライアントが多いことを知り、私が支援したい人との共通点がたくさんあるな、と感じたのが大きな理由です。

 

ビジネスとしてコーチングで儲けようというよりは、それぞれの方が得意なキャリアを歩んでほしい・納得感を持って充実させていってほしいというスタンス

が伝わってきました。そういった、クライアント様と一緒に考えていくという姿勢が、私と同じ感覚だったと思います。

 

また、私は長年組織の中で働いていたこともあり、1日の3分の1の時間を使う「仕事」を、自分が成長できる充実した時間にしてほしいと思うようになりました。そして、me:Riseに参加することで、そういう人を増やしていけるのではないかと思いました。

 

 

―― ありがとうございます。そこが伝わっていること、共感していただいているというところが、私もとても嬉しく思います。組織で長く働いてこられた西山さんだからこその想いのようなものがあるように感じました。

 

そうですね、転職自体は悪いものではないと思いますが、「今の会社が嫌だから転職する」というスタンスで考えると、次の職場でも同じような問題が再び起こる可能性が高いと思っています。そうではなく、「次のステップに進むために、今の職場でどこまで達成すれば自分で納得できるのか」を考えることが重要だと考えています。

 

「次にこうしたいけれど、今の会社ではそれが実現できない」といった形で、未来に向けてポジティブな気持ちで転職を考えてほしいと思います。だからこそ、たとえ転職を前提に話を進めるとしても、「今、やり残していることはないか」といった確認をすることも大切だと感じています。

 

 

―― そういったことを大切にされている西山コーチの目線から見た、me:Riseの良さはどこにあると思いますか。

 

キャリアコーチングとともにキャリアヒアリングも実施し、クライアントの方のキャリアを立体的にサポートできるのが、me:Riseならではの良さだと思います。自身のキャリアを選んでいくにも何も情報がない中では判断材料がありません。me:Riseでは、キャリアヒアリングで必要な情報を得たうえで、コーチングで実際に自分がどうしていくのかを考えることができます。また、コーチングで今まで考えていなかった道が見えてきたときに、その道を進むために必要なのは何なのか、キャリアヒアリングで聞くことができます。クライアントの方にとって、この両輪のサポートはとっても心強いと思います。

 

 

―― それでは、最後に西山さんのキャリアについてお伺いします。これからどんなことを成し遂げたいですか?夢や目標がありましたら教えてください。

 

私のビジョンは、「自分のキャリアに対して納得感を持って進んでいく人を増やしたい」

ということです。私自身、これまでのキャリアの中で、転職、結婚による転勤、マネジメント、不妊治療、出産、育休取得、副業など、さまざまな経験をしてきました。その中で、自分自身で勝手に制限を設けたり、周りの人に協力をお願いできずに諦めてしまったりすることもありました。しかし、勇気を出して一歩踏み出してみると、不可能だと思っていたことが実現したり、周りの人たちが応援してくれたりすることもありました。

 

また、白か黒かではなく、その間にある「グレー」な選択肢も探っていけるのではないか

と思っています。そして、そうした多様な選択肢の中で、最も納得感のある道を選び取れるようなサポートをしていきたいと考えています。

 

クライアントさんが「これで自分はオッケーだ」と思える選択をした時、その姿を見ると私自身も頑張ろうと思えるんです。逆に、私が自分の信じる道を進む姿を見て、クライアントさんも「頑張ろう」と思ってくれる、そんな関係が築けたら嬉しいですね。「制限があるけれども精一杯働きたい」「今よりさらに生き生きと働きたい」と思っている方々に寄り添い、最終的に自分の人生は自分で選択していると実感できる人を増やしていきたいと思っています。

 

 



【Profile】

西山伸子

人材サービス会社にて営業、教育サービス会社にて営業・教育業務に従事。その後、トランスコスモス(株)にて19年勤務。主に人材育成業務に従事し、企画、コンテンツ開発、講師等を経験。現在はパーソナルコーチングを中心に、研修サポートなども行う。

 

・国際コーチング連盟(ICF)アソシエイト認定コーチ(ACC)資格

・一般社団法人コーチングプラットフォーム認定コーチ資格

・国家資格キャリアコンサルタント