Coach Interview

コーチ紹介インタビュー

テレビ業界からIT業界へ。大きくキャリアチェンジを行った経験

 

 

――これまでのキャリアについて教えてください。

 

大学で国際関係を専攻していたことやバックパッカーとしてアジアの発展途上国を訪れた経験があり、勢いづく国のエネルギーとともに日本とは全く異なる環境・価値観・状況で暮らす人々を肌で感じてきました。こうした経験から、「異文化や国際格差を伝える仕事がしたい」という思いを抱き、大学卒業後はテレビ番組制作会社に入社しました。

 

制作会社では常に刺激的な経験をすることができたと思います。情報番組の海外取材やグルメ番組の制作に携わる他、阪神・淡路大震災時の被災者の方の取材など、多様なテーマに関わる機会を得、幅広い業界の方とたくさん関わり合うことができました。

 

しかし、制作現場は想像以上に過酷な労働環境で、体調を崩してしまいました。入社からわずか2年で退職を決めた時は、「「粉骨砕身で働いたのに、履歴書に書けるような資格やスキルが何もなく、手元に何も残らなかった」と深い虚無感に襲われたことを今でも覚えています。それでも、後になって振り返ると、この時期に得た学びや経験は非常に貴重であり、自分自身を大きく成長させてくれた経験だったと実感しています。

 

 

――その後、IT業界に進まれたのですよね 

 

はい、転職を決意した後、インターネットが普及して急成長していたIT業界に魅力を感じ、ITで手に職をつけたい、と思い切って飛び込みました。まずはプログラミングの基礎を学ぶことから始め、少しずつ小規模なシステムの開発を一人で任されるようになりました。開発から納品まで一貫して対応する中で、大切なのは「顧客のニーズをしっかり聞く・課題を理解すること」だと実感しました。お客様の話をじっくり聞いて、それをどう形にするかを試行錯誤するプロセスは、すごくやりがいがありました。

 

プログラマーとしてのスタートでしたが、だんだんと大規模プロジェクトのリーダーを任されるようになって、プロジェクト全体をまとめる役割も経験しました。さらに、システム開発の視点だけでなく、顧客の業務を深く理解するために、IT企業から事業会社のシステム部門に転職し、システムを発注する側の立場として予算の確保や実際にシステムを利用するビジネス部門との調整の苦慮など、開発からは見えなかった部分を経験してきました。店舗や倉庫など、システムが使われる現場にも出向き、店舗のスタッフと棚卸などもしましたね。ITエンジニアとしてのキャリアを通じて、システムの企画・構築から運用保守まで幅広い知見を得ることができたと思います。

 

現在はこれまで培ったITエンジニアとしてのスキルを社会貢献に役立てたい、また国際的な環境で働きたいと考え、国際NPOの日本事務局でシステム開発側とユーザー側をつなぐ社内IT部門の部門長として働いています。また経営チームの一員として経営戦略やプロジェクトの中で、「事業目標の達成のためにシステムをどう活用するか」中長期の視点も踏まえたサポートをするようにしています。管理職としてチームメンバーの成長の支援にも取り組んでいますし、国際的な環境の中で、英語での海外事務局との協業や交渉も行っています。

 

 

――大きなキャリアチェンジを経験されてきたのですね

 

そうですね。このキャリアチェンジできたのは若さもあったと思います(笑)

さきほど、「制作会社に入って、何もスキルや経験が残らなかったわけではなかった」とお話したと思うのですが、振り返るとシステム開発とテレビ番組制作はどちらも大きな枠組みでみれば似た部分があるように感じています。番組制作もシステム開発も、最初は企画のプレゼンから始まって、予算の確保、必要な人員や設備を手配して、スケジュールに沿って形にしていく。この一連の流れ、プロジェクトマネジメントの部分は共通していたのだなと、後になって実感しました。

 


 

コーチングから学んだ人生のターニングポイントに寄り添う喜び

 

 

―――コーチングに興味を持たれたきっかけは何だったのでしょうか?

 

プロジェクトマネージャーとして失敗を経験したことがきっかけです。システム開発プロジェクトで、発注側と開発側の連携がうまく取れず、計画が途中で頓挫してしまったのです。振り返ると、発注側と顧客側を一つのチームとしてまとめる力が自分にはまだ足りていなかったのだと痛感しました。

 

さらに、自分のマネジメントスタイルを見直す中で、任せるべきところは信頼して任せること、そしてメンバーの知恵を積極的に活かし合うチームをつくる姿勢が足りなかったことにも気づきました。この経験から「人を活かすマネジメントとは何か」を考えるようになり、2018年頃からコーチングについて学び始めるようになりました。

 

 

――そのような経験を経て、コーチングと出会われたのですね。具体的に、プロとしてコーチングを始めたのはどのような経緯があったのですか?


率直に、自分のなかで「これが本当にやりたかったことだ」という思いが強くなったからです。コーチとしてトレーニングを重ねる中で、クライアント自身が自分自身の力で何かを見つけ、自分らしく開いていく瞬間に立ち会える尊さを何度も感じ、「もっとプロのコーチとして人と関わり合いたい」と思いました。さらに、コーチングを学ぶ中で、すべての人が豊かな可能性と創造性を持っていることを実感しました。一人ひとりが秘めている素晴らしいリソースをを引き出すサポートができることに大きなやりがいを感じています。クライアントの無限の可能性を最大限に引き出し、クライアントが自分らしい人生を歩めるよう支援することが私の理想です。

 

 

――パラレルワーカーとして働かれるなかで、コーチングとの相乗効果はありますか?

 

多くの場面で効果を実感しています。たとえば、スタッフとの関係で深い話ができる機会が増えたり、自分の特性に気づいてもらえる場面に立ち会えたりしています。また上長や同僚からも「良いところを伸ばすマネジメントができている」「安心して話せる場を作っている」と評価されるなど、管理職としてのマネジメント業務においても良い変化を感じています。

 

さらに、自分が積極的に取り組んでいるシステムコーチング(チームに対するコーチング)では、現場のマネージャー経験を活かしながら、クライアントの課題や新たな可能性に気づく機会が多く、高い親和性を感じています。

 

 

――どのような方がクライアントに多いのでしょうか?


お仕事上やプライベートの人間関係の悩みを抱えてセッションに来られる方が多く、中でも福祉系など、人を支える仕事に携わっている方が多い印象です。また、管理職として活躍されているクライアントも多く、管理職どうしの横のつながりや部下との関係性、感情の表現方法について悩まれることがあるようです。そうした相談に応じる際に、ネガティブな感情や“こんな感情は持つべきではない”と抑制しがちな感情も大切にしながら、その方自身が健やかに過ごせる方法を一緒に見つけることを心がけています。

 

 

――正直な自分に向き合うセッションを大切にされているのですね。また、建部コーチからみて、特に印象的だったセッションはありますか?

 

あるクライアントの方は、職場の人間関係について、自分は嫌だと思っていても、はっきりとネガティブな感情を表出することもできずに悩んでおられました。セッションを重ねる中で、まず感情や価値観をじっくりと見つめ直す時間を持ちました。その結果、ご自分の中に深い悲しみがあること、その悲しみを思い切り「悲しい」と表現してもいいんだ、ということ、さらにその奥に「大切にされたい」という本当の願いがあることに気付いていかれました。そして最後には、「自分にとって本当に大切なことをしっかりと受け止められた」と、力強い言葉をいただきました。その時の明るく前向きな表情は、初めてお会いしたときとは全く違っていて、とても印象的でした。

 

 

――よくセッションで投げかける「問い」を教えてください

 

 

問い自体をあまり意識してはセッションを行っていないですね。あえて言うとすると、「その感情は体のどこで感じていますか、身振り手振りで表現してみてもらえますか?」というものですね。クライアントの言葉にならない感情や意識下では抑制してしまっているエネルギーがでてくることもありますし、また自分が表現したものをさらに考えて言語化もらうことによって、クライアントが今抱えている感情に寄り添えるのではないかと思っています。

 

 me:Riseのクオリティに深く共感。より多彩なクライアントと出会うコーチングを目指したい

 

 ―なぜme:Riseを選んだのかについて教えてください

 

業界やキャリアを問わず、より多くの人を支えたいという思いから、me:Riseを選びました。me:Riseはコーチ加入の際に厳しい選考を行っており、その高い基準をクリアすることは簡単ではないと感じていましたが、一方でそれはクライアントに対してセッションの品質をしっかりと確保するというme:Riseとしての姿勢でもある。そのような姿勢に深く共感し、ジョインすることを決意しました。 

 

 

――コーチングを通じて、これからどんなことをしていきたいですか?

 

3月にキャリアコンサルタントの資格試験も受験予定で、キャリアにフォーカスしたコーチングも強化したいです。またme:Riseで外国籍の方への英語でのコーチング、企業様にシステムコーチング(チームコーチング)もご提供できると自分の強みが生かせるのではないと考えています!

 

また、将来はコーチとして在日外国人の方のキャリア支援や、その方が日本の組織で活躍し、組織も元気になることを個人コーチングやシステムコーチング(チームコーチング)を通じてサポートしていきたいと考えています

 

 



【Profile】

建部 真奈

ITベンチャーでのITエンジニアを経て、株式会社サザビーリーグの社内システム部門で様々なブランドのシステム刷新プロジェクトをプロジェクトマネジャーとして推進。

現在は国際医療人道援助NPOの日本事務局でITチームのマネジャー、経営チームの一員も担う。自身のプロジェクト失敗経験からグロービスのMBAとコーチングを平行して学び始め、現在コーチとしても活動中。

グローバルな環境で多様な価値観の中、組織戦略にも関わりながら、コーチとして、クライアントが自身の内面で起きる葛藤と向き合い、関係性や組織/社会の規範からの影響に気づき、本来の可能性に開かれていくプロセスに伴走。英語でのセッションも提供可能。 

 

・ICF認定資格/CRR Global認定 ORSCC (組織と関係性のためのコーチング認定コーチ)

・CTI応用コース修了

・産業カウンセラー

・グロービス経営大学院経営学修士(MBA)