コーチ紹介インタビュー
“より企業が強くなること”、“個人がイキイキすること”のマッチングができたらいいなと思い人材紹介会社に入社
―― これまでのキャリアについて教えてください
私のキャリアの原点は大学の経営学のゼミなのですが、「トヨタから学ぶ組織改善」という論文や日本経営品質賞を受賞した企業の取り組みに触れたり、強い組織とは何かを考える為に企業にインタビューしたりする中で、企業が変わっていくためには人が重要である”ことに気づいたんですよね。そして、より企業が強くなることと、個人がイキイキすることのマッチングができたらいいなと思い、人材紹介会社の㈱リクルートエージェント(現:㈱リクルート)に就職しました。
入社してからは法人営業を担当しまして、中途採用で採用された人が組織を変えたり、事業が伸びたりするところに関わり、思い描いた通りとてもやりがいを感じていました。ライフイベントで退職しましたが、退職後も継続して人と組織の成長に関わる仕事に携わっています。 退職した後は、これまでの延長線上で、キャリアコンサルタントの資格を取得した後、コーチングの資格を取得して、今は採用やキャリアコンサルタントとコーチの知見を活かして、個人と法人のお客様のセッションをしています。
―― もともと組織開発に興味があったのですか?
実はそうではなくて、ゼミのフィールドワークで経営現場のリアルな声をヒアリングして、組織文化の醸成や人の育成がいかに難しいか、またその影響力がどれほどなのかを知るとともに、そこに組織づくりの魅力があるのだと気づいたことが興味に繋がりました。 実は今でもゼミの合宿にオンラインで参加させてもらったりしていて、教授とも繋がりがあるんですよ。教授やゼミ生が今、研究していることを伺ったりもしています。
―― 新卒で入社された会社で営業をされていたということですが、具体的にはどんなお仕事をされていたのでしょうか?
ベンチャー企業というか、マンションの一室からスタートした企業さんから、一部上場されている企業さんまでを対象に、1名から数百名の規模の採用のお手伝いをしていました。特に採用人数が多い企業様ですと、人材要件定義からセミナーの企画、社内でプロジェクトチームを組んだりして、どうやって採用を成功させたらよいかを企業担当としてマネージしていました。課題が企業様毎にまちまちで、採用したい人が具体的に決まっているケースもあれば、組織課題を解決できる人材要件定義・母集団形成から任せられるところまでありました。また、海外進出が見込まれる企業さんに、中国の新卒の学生さんを採用するイベントへの参加を提案して、現地で一緒に採用活動をしたりしました。 リクルートという会社がどんどん職務を与えてくれる会社だったということもあって、4年目で新人教育をしたり、新しいサービスがスタートする時のプロジェクトリーダーを任せていただいたり、若いながらもいろいろチャレンジさせてもらえたと思います。
中でも特に印象に残っている経験としては、とあるサービスのプロジェクトリーダーとして支社で一番売上を上げることができたときですね。営業のロールプレイングをしたり、どのポイントを上げていったら受注率アップにつながるのかを分析したりして、メンバー全員のアクションプランを細かく立てて実行していったことが成果に繋がりました。その後他の営業所からモデル(参考)にしていただいたりしました。
もうひとつ、1週間に10名面接に進んでいただかないと事業・採用計画が間に合わないという企業様を引き継ぎ、他のエージェントさんに実績を先を越されていたところを挽回して、企業様の計画通りの結果に繋げられたことが印象に残っています。短期間でのキャッチアップと継続的に実績を上げることはとても大変だったのですが、社内を巻き込んで新しいスキームを組んだり、スムーズに進める為にキーとなるキャリアアドバイザーの方に裁量を渡したり、他の人がやっていないような工夫をして結果を残せ、その取り組みは全社で表彰されました。自分としてはやりきった!という感覚です。
過去から現在の課題を解決しながら、未来も一緒に描いていけるという一気通貫したセッションができる人になりたいと思い、コーチングの資格を取得
―― その後、キャリアコンサルタントの資格を取得されるのですね?
そうですね。営業以外で自信をもって語れるものはなかったので、もともと興味のあったキャリアコンサルタントの資格を取って、そこからキャリアコンサルタントとして仕事をしてきました。過去から現在の事象を扱って課題解決していくということがメインの仕事になってきて、課題が解決できた先の未来を一緒に考える際に、自分の知見では足りないと感じました。その時ちょうどコーチングというものを知り、過去から現在の課題を解決しながら、未来も一緒に描いていけるという一気通貫したセッションができる人になりたいと思ってコーチングの資格を取得しました。
―― 退職後に個人としてお仕事を始められたということですか?
1社と契約し、そこからの受託から始めました。
法人の営業経験もあるので、クライアント折衝やクライアントワーク、PL的な仕事もできたので、キャリアコンサルタントだけというよりもプロジェクト全体に関わる形で仕事を拡げていきました。ですので、プロジェクトを立ち上げる案件等、あまり型が決まっていない中で自分なりに進めていくとか、クライアント側にプランがあまりない中で提案して進めるようなことが多いのですが、とても楽しく仕事させていただいています。正解がない中で、企業さんや個人の方によって、それぞれアプローチの仕方は変わって良いものだと思うので、カチッと決められたところをやるよりも柔軟性を持って進めていく方が私に合っていると思っています。
営業の経験がすごく活きていると思います。それに加えて、夫が経営者であるので、経営者が何を考えているのかということや、人が一番マネージしづらく、型にはめにくいものだということも傍から見てとても良く分かります。それらの問題に「べき論」ではなく、事実を受け止め共感した上で、どうしたら良いかという視点で議論できるという環境の影響も大きいように感じています。
―― コーチングに関してはどのように学んだのですか?
コーチ・エィ アカデミアで1年半学びました。コーチについてもらって、自分もコーチングを受けながら学ぶスタイルでした。それまでストレングスファインダーⓇで強みを知るものや、モデルでコーチングセッションを受ける機会はありましたが、がっつりコーチングセッションを受ける経験はコーチ・エィ アカデミアでプロのコーチの方から受けた時が初めてでした。
コーチングを受けてみて、キャリアカウンセリングとの違いをすごく感じました。 特にセッションでコミュニケーションしていく中で、どんな問いを立てるのかということの大切さや、電話で受講するスタイルなので、声色や言葉から相手の考えを読み取れるということを改めて学びました。キャリアカウンセリングは、どちらかというと相手のいいたいことを傾聴しながら、気持ちに寄り添い課題を解決していくアプローチがメインですが、コーチングは、気持ちに寄り添いながらも目標達成するために必要な行為を一緒に立てていくというアプローチで、問いの立て方、質問の仕方が全く違うと感じました。もちろん、信頼関係を築くことなどベースとなる大切な部分は共通しているのですけれど、問いを立てる力はコーチングを学んで更に強化されたと感じています。
―― 学び終えた後はどんなお仕事をされているのですか?
元々キャリアカウンセリングを提供していた企業に『過去を振り返るキャリアカウンセリング』に加えて『未来を一緒に描くコーチングセッション』を提案させていただいたところ、キャリアカウンセリングを受けていただいた方の評価がとても高かったこともあり、 自然な形でチャレンジさせていただくことができました。
―― 今はキャリアカウンセリングとコーチング、他にもあるかもしれませんが、どんなバランスでお仕事されているのですか?
コーチングが8割くらいですね。その他、キャリアカウンセリングとしてお仕事を受けているものもありますが、自分の中ではコーチングとドッキングしていて境がなくなっている感覚です。コーチングとキャリアカウンセリングは学ぶ内容の違いはありますが、どちらのセッションにも活かせる知見があると思うので、私の中ではミックスしていますね。
相手によって課題解決する時はキャリアカウンセリング的なアプローチが強めになることもありますし、時にはキャリア理論のお話をすることや、過去の事象を少し丁寧に扱うこともあったりします。一方で全体的なコミュニケーションや問いを立てるような時はコーチング寄りのアプローチになっています。自分で考えて、自分で答えを出していただけるような、課題解決だったり、未来を考えたりするセッションになっていると思います。
小さい子供を3人育てながらの仕事のため、時間の捻出やバランスのとり方には苦労の連続です。今も一つの答えに絞ることはできていませんが、今やりたい仕事に集中できるよう、勇気を持って他の仕事を手放すこと、業務時間以外は基本的にチャットやメールの返信もしない等、やめることを決めることでメリハリを付けて、仕事と育児それぞれがそれぞれの息抜きになるように小さな工夫を重ねています。コーチングの知見は、こうしたセルフマネジメントに一番生かされているかも知れません(笑)
※写真は、自宅のキッチンで3人のお子さんと一緒にお料理をしている様子です。
――これまで最も印象に残っているセッションやクライアントさんはいらっしゃいますか?
お二人がぱっと浮かびました。
お一人目は、ライフイベントですごく悩んでいらっしゃる女性で、ご本人的にはどん底の状態でした。、まず「自分がどういう人間なのか?」や「何故、今の事象が起きているのか」を客観的に理解した上で、「どうなりたいか」を一緒に考えることで、途中から見違えるほど変化されて、数回目以降はご自身で資料を作って来られるなど自走されるようになった方がいらっしゃいました。その方から、「あのとき、あのセッションがあったからこそ自分の扱い方が分かった。以前は、こんな風に自分が前向きにいられるとは思っていなかった」とおっしゃっていただけたことが印象的でした。
もうお一人は、転職をしたものの、思い通りにいかないこともあって辞めたいと思っていた方です。セッションで、過去の事象を振り返り、未来にどんなことをしていきたいかをじっくり考えることを通じて、実は今の組織がフィットしていること、そしてチャレンジしてみる価値があることに気が付かれたんですね。そこから大活躍されて、他の社員の方へ大きな影響を与える存在になられました。その方の影響で私のコーチングセッションを希望される方も沢山出てきたほどです(笑)。
お二人に共通しているのは、悪いと思っていた状況も否定せず、フラットに受け入れて前を向いてやっていこうという気持ちになっていて、それに納得しているということ。そしてご自身のことを良く理解できている状態なので、先々で躓くことがあったとしても、元に戻らず前に進める状態になっているというところかと思います。
丁寧に発する言葉や声色、表情を逃さず、無意識の中にある価値観をスルーしない。そして、私自身がフラットであること、自然体であることを大事に。
―― コーチングをするとき、いつも心がけていることがあれば教えてください。
一番は丁寧というところですね。 その人が発する言葉や声色、表情を逃さず、無意識の中にある価値観をスルーしないようにしています。 意外と自分が無意識に発している言葉や表情、声色というのは出ているものなので、自分では気づかないことが多いと思いますが、自分では気づかないものだからこそ、対峙している私がそれをキャッチしてフィードバックしたりしています。
クライアントさんの言葉を大切にしたいので、結構な量のログを取っています。 受け取ったものを流さず、ちゃんとお返ししてそこでもう1回アクナレッジメント(Acknowledgement, 変化に気づき、伝え、相手の存在を認めること)を起こせるように心がけています。
そうしているからか、私がセッションさせていただいた方からは「自己理解が深まった」とか「自己肯定感が高まった」という言葉をいただくことがとても多いです。
そして、私自身がフラットであること、自然体であることをすごく大事にしています。アドバイスする人ではなくて同じ目線、同じ価値観を持ちながら一緒に考えるようにしています。
―― セッションでよく投げかける問いはありますか?
この質問は難しいですね。キーになる質問というようなものは特に用意していないのですが、よく使うアプローチでいうと、点数化で自己評価してもらうということはしていると思います。ご自身を俯瞰し、違う視点で見てもらえるように促しています。
視点を変える質問でいうと、主語を変えて「例えば〇〇さんから見た時にどう見えると思いますか?」というものも使ったりしますね。そうすることで、自分の思考の偏りに気づかれることも多いです。
コーチングの質にこだわり、人数をこなすことではなく、ユーザー様一人ひとりに真摯に丁寧に対応しているところ、そして良いサービスを育てていきたいしたいというme:Riseの姿勢に共感
―― me:Riseでコーチをしようと思った理由は何ですか?
お仕事をご一緒したことのある価値観が合うコーチがいるということが大きいところでもあったのですが、それに加えて、選考を受ける過程で、コーチやセッションのクオリティにきちんと着目しているところは魅力だと感じました。サービス・組織を拡大していくということよりも、良い仕事をしたいという姿勢に共感しました。クオリティの担保というのはとても難しいと思うのですが、一人ひとりに真摯に丁寧に対応されていることは選考を通じて私自身も感じましたし、me:Riseを運営している株式会社Rubatoの代表の「土に根を張るようにサービスを育てたい」という話が心に響き、誠実さを感じたことがme:Riseでやりたいと思った理由です。
―― 井本さんからご覧になったme:Riseの良さとは何ですか?
前の質問と似ていますが、やはり質にこだわっているところですね。 初めてコーチングを受ける方に良いものに触れる機会を提供しているところ、そして、さまざまなバックグランドをお持ちの厳選されたコーチがいらっしゃるので、コーチとしても成長できる環境であるところも魅力的です。
【Profile】
井本 仁美
㈱リクルートエージェント(現:㈱リクルート)にて法人営業、新サービス拡充のプロジェクトリーダー、育成に従事し、その後人事系フリーランスへ転身。法人・個人向けキャリアカウンセリング、コーチング業務、研修講師、採用業務、ベンチャー企業での企画業務等を経験。
キャリアコンサルタント×コーチングの知見を活かし、課題解決しながらポジティブアプローチで目標達成を伴走することや、クライアントが発する言葉を大切に扱いその方が持つ価値観や考えの言語化が得意。自己肯定感が上がり、その人らしさに気づくことで自己実現に向けて行動を起こせるセッションと定評あり。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ、国家資格キャリアコンサルタント、アナザーヒストリー認定プロコーチ