コーチ紹介インタビュー
大手生命保険会社から転職支援会社へのキャリアチェンジ。そして現在は組織開発と人材開発のパラレルワーカー
―― これまでのどのようなキャリアを歩まれてきたのか教えていただけますか?
2010年に新卒で日本生命という会社に入社しました。会社が掲げている方向性に対して共感が持てたということと、保険という、長期的に保険料をお預かりする商品の特性上、業界最大手であれば、私も自信を持って商品をおすすめできそうだと思ったことが、最終的に入社を決めた理由です。
入社後、最初の2年間は保険営業を担当し、3年目に首都圏の採用担当部署、4年目に営業人事部へと異動しました。営業人事部では、全国の営業職採用の統括と執行や、キャリアデザイン等に携わり、3年ほど経ったころで再び営業所に戻り営業マネージメントを経験しました。
その後、現在も所属しているパーソルキャリア㈱という転職支援会社に転職し、主にコンサルティングファームや金融機関を担当領域として、法人営業を約3年半経験しました。具体的には、クライアントの採用活動がうまくいくように候補者様をご紹介したり、採用人材の要件定義や採用プロセスに関してご提案したりするリクルーティングアドバイザーという仕事です。
そして、1年前の2019年から働き方を変え、パラレルワーカーとして、パーソルキャリア㈱での仕事に加えて、㈱ルバートでオンラインキャリアコーチングサービスme:Riseの運営やキャリアコーチ、法人・大学向けの研修や個人向けワークショップなどの企画開発、講師をしています。パーソルキャリア㈱には週3日勤務し、自社の組織開発の仕事を担当しています。社員一人一人が、外向きに、成長マインドをもって仕事に挑戦していく組織づくりという大きなテーマについて、さまざまな切り口で取り組んでいます。
―― 営業のご経験が長いようですが、営業職に興味があったのですか?
私が就職活動を始める少し前にリーマンショックがあり、就職活動はとても苦労しました。新卒採用をしない会社もあり、企業側も積極的な採用活動を行っていなかったので、幅広い業界業種にエントリーし、その中の1つとして営業職もあったという感じですね。
子供の頃は将来の夢として色々と思い描いていたものはありましたが、実際リアルな就職活動となったときに、積極的にエントリーしていたのは空港が職場であるグランドスタッフでした。いろいろな国の人が行き交う『空港』という場所が好きで、とても刺激のある場所だと思っていたんです。漠然とそこで働きたいなと思っていましたが、深い理由があったというよりは、単純な憧れが強かったと思います(笑)。
―― 憧れだったグランドスタッフ、就職した営業職、どちらも人と接するお仕事ですね?
大学時代に4年間ホテルで婚礼のアルバイトをしていました。そこから接客が楽しいなと思うようになりましたね。接客というのは一期一会なのですが、自分が携わるその瞬間に、少しでもいい時間を味わってもらいたいという想いと、人生において大切な節目の日をお手伝いさせていただく責任感が自分のやる気につながり、接客を楽しんでいました。
また、とても細かいことに気を配って、お客様のことをよく観察していました。お客様の飲み物が減るスピードを観察したり、何かを探していたり困っている人がいないか、会場全体とお客様の表情を交互に見渡したりと、観察力が磨かれたと思います。この観察力はその後の仕事にも生かされていると思います。
婚礼アルバイトは一見華やかに見えますが、とても重労働でした。ハイヒールでの立ち仕事になりますが、1日に3件婚礼を担当することもありました。表の華やかに見えるものの裏には、たくさんの人の力や連携プレーがあるということも学びました。
「背景に想いを馳せる」「目の前に見えていることの奥に何があるのか」「そこに至るまでにどんなことがあったのか」など、見えている事象だけにとらわれないということを私は価値観や心掛けとして持っています。アルバイトの経験だけがそういう価値観を作ったかと言ったら違うような気がしますが、もしかしたらこれまで長い間に形成してきた土台の一部として、この経験もあるのかもしれません。
営業経験で実感した「行動が変われば結果も変わってくる」ことが人の内面への興味に繋がり、人材業界へ。そしてパラレルワーカーという働き方を選択。
―― 保険会社の営業と人事というキャリアから、全く業界の異なる仕事へキャリアチェンジされたのですね?
保険会社での最初の2年間の営業経験がとても影響していると思います。入社1年目は思うように営業の結果を出せず、とても苦労しました。どうやったら成果を出せるのかと日々試行錯誤を重ねる中で、自分の心のありようや、物ごとの捉え方ひとつで自分の行動自体が変わってくるのではないかと思うようになりました。そして、行動が変われば当然そこに付いてくる結果も変化するということを実感
今となっては、「上手くいかない時にどういう自分でいたいのか」を考える良い機会に恵まれた時間だったと思っています。それを考えていく中で『自分の仕事の使命とは何か』を考えるようになったんです。
保険という商材は、「晴れの日に傘を売るような仕事」と例えられるように急を要するものではありません。健康な方に、万が一のことがあったらという想定で話をするので、沢山のお断りを受けます。最初はこの点にばかり焦点があたり、いちいち気持ちが沈んでいました。でもある時、元気に毎日お仕事をされているお客様の状況を考えたら、普通の反応で、だからこそ、自分の使命がそこにあるのではないか?と考えるようになりました。普段自らそのようなことを考える機会が少ない方にこそ、少しだけ立ち止まって未来のことを考える時間を作っていただき、万が一の時にお役に立つ情報を提供する。そのことこそが自分の役割なのだと、強く思うようになりました。その上で、最終的に選択、判断されるのは、もちろんお客様です。ですが、一人でも多くの方にこちらから声をかけ、その検討の機会を作っていくことは、私の使命。自分の中でそれが明確になったとき、自分が担当させていただいている企業様の中に、私からの情報提供を受けたことがない人がゼロの状態を目指そうと考え、自ずと自分の行動が変わっていきました。
その後、営業人事部へと異動になった辺りから、働く人の幸福度やモチベーションの源泉など、表面に見えているものよりも内面的なものへの関心が高くなっていきました。そういった側面で、何か自分にできる貢献がしたいと考えたとき、いち営業プレーヤーとして仕事に熱中していた自分自身のマインドの中に、そのヒントがあるのではという想いがありましたが、それを他の人に伝えるならば、単なる個人の体験ではなく、そこに対して客観的・科学的根拠を確認した上で伝えていかなければと思い、いろいろと調べていく中で「ポジティブ心理学」というものに出会いました。そこから本格的に勉強をしてみようと思い、「ポジティブサイコロジースクール」という学校に通い、心理学の勉強を始めました。その勉強をしていくなかでコーチングの要素の入ったワードを度々耳にするようになり、コーチングへの興味が沸いてきました。
―― そこからどのように転職につながったのでしょうか?
仕事を通じて、数えきれないほどの恩恵を受けてきた気がするんです。社会に出る前は、「仕事は3年くらいやって、その後結婚を機に退社して専業主婦になる」そういう風に私は思い込んでいたんです。なぜなら、母が専業主婦だったからです。それが当たり前で、特に疑いもせずにそういう風に人生を歩むと思っていました。ですので、仕事をしてみて様々な恩恵を自分自身が受けてきたことに気がついたとき、そのインパクトの大きさを感じました。
私は仕事を通じて、より自分らしく、幸せに生きているという実感がありました。人が幸せになる手段はたくさんありますが、仕事がここまで自分に大きな影響を与えているというのは、私だけに限ったことではないと思うようになりました。そこからさまざまな仕事の選択機会をつくっている人材業界へ興味をもつようになり、転身へとつながりました。
―― 実際転職をしてみていかがでしたか?
転職をしてみて、仕事内容の違いというよりはカルチャーギャップが一番大きかったなというのが率直な感想です。保険会社でも採用担当の仕事をしていたので、法人営業でリクルーティングアドバイザーをするということは全く何も知らない状態からではなかったので、違和感なく仕事につけたと思います。営業する相手が個人から法人へと対象が変わることは新しいチャレンジでしたので覚悟もしていたのですが、仕事をする上で大事な部分は、相手が個人でも法人でも同じであると実感しました。
現在はパラレルワーカーとして、パーソルキャリア(株)には週3日勤務しています。フルタイムで働いていた時に、㈱ルバートからこちらでも仕事をしてみないかというお話をいただいたことがきっかけで、パラレルで働くということを考え始めました。
会社に対しては、パラレルで働くことによって外で培ってきた知識や経験を会社にどう還元できるかということを資料にし、役員にプレゼンしました。そして、この働き方を受け入れ、応援していただいています。週3日でできる仕事、且つ私のこれまでやってきた経験を生かすことのできる仕事の選択肢をいただき、私の中で一番関心の高かった組織開発の仕事をさせてもらうことになりました。
副業は認められている会社でしたが、今の週3勤務というスタイルのパラレルワークは、制度としてはありませんでした。コーチングでプチ副業を始めた辺りからこれから先どういうキャリアを進もうかと考えるようになりました。このまま同じスタイルで続けるという選択肢もありましたし、副業の方にもう少し注力したいのであれば転職や退職をするという選択肢もありました。いろいろな可能性について、動きながら考えていた感じです。それでも、どの選択肢も「これだ」と納得できるものではなく、1年ほど副業をしながら考えていく中で、会社の勤務を週3日にして、コーチングの仕事と両立していくというスタイルに腹落ちしました。そこで、パラレルワークという働き方を、思い切って会社に相談したところ、会社側も好意的に受け入れてくださり、今に至っています。多様性を受け容れ、個人の挑戦を応援してくれる会社にはとても感謝しています。
コーチングを学び自分自身が確実に豊かになったという実感、そして「キャリアという切り口で人生を豊かにするサポートがしたい」という想いがプロコーチへつながった
―― プロコーチになろうと思ったきっかけは何ですか?
プロコーチ養成スクールに通い始めたときはプロになろうとも、ならないとも特に決めずに通い始めました。そこから、コーチングを学ぶことで自分自身が確実に豊かになったという実感がありました。そうであれば、これを自分のためだけに使って終えたくないと思うようになったんです。そこからプロコーチを考えるようになりました。ですから、プロになろうと一大決心があったわけではなく、だんだんと学んでいく中で自然とそういう風に思うようになったという感じです。学生時代の経験やポジティブサイコロジーを学ぶ中で、私は人が幸せになること自体にとても興味がありました。人が幸せになる手段は仕事だけではありませんが、大人になると起きている時間の大半は仕事をしています。使っている時間の大きさによって影響度も大きくなりますし、自分自身が仕事からとても恩恵を受けたと感じていることもあり、キャリアという切り口から幸せになることのサポートできないかと考えるようになりました。
コーチングはキャリアの主体的な選択や、短期、中長期などのスパンに限らず仕事のことを考えていくのにとても有効な手段だと思います。私は正直コーチングという手段にそこまでこだわっているわけではありません。キャリアという切り口で人生を豊かにするサポートがしたいと思ったときに、それはコーチングが有効なのではないかと思い、コーチングに辿り着いた感じです。
―― 印象に残っているセッションはありますか?
セッションは毎回それぞれ印象深いと感じています。多くの方から「転職をどうしたらいいか」という相談を頂きます。その中の一人で、最終的に転職という道ではなく、自分の職場でまだやれることがあったと気づかれて現在も同じ職場で仕事に邁進されている方がいらっしゃいます。その方は、「定年を迎えるときにどういう自分で在りたいか」というイメージを非常に大切にされています。そこに向けて今できることは何かと考えながら、現職でのお仕事に丁寧に取り組むことに加えて、社外での活動や新しい学びに取り組んでいらっしゃいます。
コーチングでやっていることは、セッションで仮説を作り、検証するということを実際の行動に合わせて実行することです。その方はセッションを受けてから行動に移すまでが非常にスピーディーでした。このような気づきに至ったのも行動のサイクルを自ら回されたからだと思っています。この仮説検証のサイクルを自ら回せるかどうか、また、そのサイクルを回せるようにコーチがサポートするということの重要性を、その方を通して再確認したという意味で印象に残っています。
―― 良くセッションで投げかける問いはありますか?
それぞれの状況にもよるので難しいのですが、色々とお話を深く伺った上で、「あなたにとって、本当に大事なことは何ですか?」とシンプルですがストレートに聞きますね。これとセットで、「あなたにとって本当に避けたい事はなんですか」ともお聞きします。「本当に大事にしたいこと」と「本当に避けたいこと」がわかると、ある程度方針がみえて行動に移せる方が多いと感じているので、大事にしたいことだけでなく、避けたいことも併せて伺うことが多いですね。
コーチングを学び自分自身が確実に豊かになったという実感、そして「キャリアという切り口で人生を豊かにするサポートがしたい」という想いがプロコーチへつながった
―― なぜme:Riseに参画したのですか?
私は、コーチングを知らない、体験したことのない方に、キャリアを考えるひとつのオプションとして、コーチングという手段があることを知ってもらいたいと思っています。そして、実際に受けていただくことで、思考が整理されたり、発想が拡がるということをぜひ体感してもらいたいという想いがあり、参画しました。自分のキャリアだからと、すべてを自分一人で考えなければいけないということはありません。目に見えずらいコーチングというサービスを、少しでも目に見える形にしていろいろな切り口でお伝えしていけたらと思っています。体験するハードルをどうやったら下げられるかなど、日々試行錯誤してチャレンジしている感じです。
―― me:Riseの運営にも携わっている志賀さんですが、キャリアコーチとして見たme:Riseの良さとは何ですか?
実際にコーチングを受けるかどうか検討している方に、15分の無料カウンセリングの中でその方の目的にコーチングセッションがあっているかどうか、コーチングがどういうものかという説明にしっかりと時間を取っています。また、コーチングのコースを受け終わった後も、同じようにカウンセリングの時間を取って感想を聞いたり、こちらから何か提供できるものはあるかどうかなどをお聞きしたりしています。このようなきめ細やかなサポート体制が整っているところはme:Riseのこだわりのポイントだと思っています。 他には、現在参画しているコーチ陣はどの方も自信をもってお勧めできます。単なるマッチングプラットフォームではなく、me:Riseのキャリアコーチとして提供する品質にも非常にこだわっています。その為、コーチを広く募集したりはせず、基本的にはご紹介ベースで参画いただいています。運営側とコーチでしっかりお話した中でme:Riseのコンセプトと個人の想いが重なった方々をコーチとしてお招きしています。また、月1回ペースで、コーチ陣全員で集まり、サービス品質を高めるための勉強会もしています。ですので、コーチの品質に関しては、特に自信をもっております。
【Profile】
志賀 文香
日本生命にて、営業・営業マネジメント・人事を経験。Positive psychologyやレジリエンス、コーチングを探求し、現在は、採用・転職支援会社のパーソルキャリア(旧インテリジェンス)に在籍する傍ら、キャリアコーチングや研修・ワークショップを行うパラレルワーカー。
自身の転職経験や、現職で培った150名以上の転職支援経験、金融業界やコンサルティング業界をはじめとする法人顧客の採用支援経験を活かしたアドバイスに定評がある。ビジネスパーソンの悩みに寄り添い、望む生き方から考えるキャリアのサポートが得意。
The School of POSITIVE PSYCHOLOGYレジリエンス講師認定コース第1期 修了 、(株)アナザーヒストリー主催プロコーチ養成スクール卒業